● データでみる国試 の記事一覧
皆さんこんにちは☆
編集部のS藤です.
「データでみる106回」シリーズ最終回は,
医学総論の問題の増加,国試における実習重視の傾向に関連し,
最近の国試での出題増加が注目されている,
“医療器具画像問題”をクローズアップしていきます.
◆実習での経験が問われる◆
医療器具の用途や,正しい使用法がテーマで,画像つきの問題を,
「医療器具画像問題」としてカウントしたところ,
106回国試では,
医療器具画像問題の出題数は8問,画像数は17点でした.
このタイプの問題は,
座学では勉強しづらく,
実習での経験の有無が「得点できるかどうか」に直結しやすい問題です.
まだ実習が残っている科では,検査や手技を見学するとき,
ぜひ医療器具にも着目してみてください!!
◆既出の医療器具は必ずチェックしよう◆
106回では,104回で出題された皮膚科の硝子圧法(104D3),
103回で出題されたガスリー法の試験用紙(103G4)
の写真が再び出題されました.
既に出題された医療器具についてはとくに,
用途や正しい使い方について,確認しておいた方がよさそうです.
『クエスチョン・バンクExtra必修問題part1~part3』では,
「医療器具セレクション」と題して,
過去の国家試験で出題された医療器具(必修問題以外も含む)と,
今後出題が予想される医療器具の写真をカラー口絵で合計99点,
用途や簡単なポイントとともに収録しています.
(もちろん,硝子圧法の硝子板,ガスリー法の用紙も収録していました!)
秋に発売予定の最新刊では,写真の点数・内容ともに,
よりパワーアップした付録にできるよう,現在改訂作業中です!
◆106回国試で,医療器具セレクションが役立った問題◆
前述の硝子圧法とガスリー法の他に,
106回国試で,QB必修2012の『医療器具セレクション』が解答の助けになった問題を,
2問ご紹介します.
106C9
産科外来に備えられている物品の写真a~eを別に示す.
Bishopスコアの決定に必要なのはどれか.



答えは「c」のグローブで,正答率は66.7%でした.
Bishopスコアの内容については,
国試の勉強をした受験生であればほとんどの人が知っていたとは思いますが,
“使用する医療器具”という観点では,
考えたことのない人も多かったのではないでしょうか
「医療器具セレクション」には,a メジャー,c グローブを除く,
b クスコ式膣鏡,d 超音波胎児診断,e 経膣プローブの写真と用途を掲載していました.
106E14
検査の様子とその検査所見とを別に示す。
この検査で以上高値を示す眼疾患はどれか。
a 緑内障
b 角膜潰瘍
c 網膜剥離
d 加齢白内障
e 視神経管骨折

圧平式眼圧計なので,答えは「a 緑内障」正答率は67.1%でした.
ちなみに,『医療器具セレクション』には,
写真Aとほぼ同じ画像を収録していました.
◆画像問題以外にも役立つ◆
画像の出てくる問題ではありませんが,
検査機器を見たことがあると有利な問題もありました.
106D50
48歳の男性.事務職.細かい文字が見えにくくなったことを主訴に来院した.
1年前から書類の文字や数字が読みづらくなり,3ヵ月前からパソコン画面の
字も見えにくくなったという.
視力は右1.0(1.0×+1.50D),左1.0(1.0×+1.50D).
眼圧は右18mmHg,左18mmHg.眼位は正位で,眼球運動に異常を認めない.
細隙灯顕微鏡検査と眼底検査とで明らかな異常を認めない.
次に行う検査として適切なのはどれか.
a 調節検査
b 仮性同色表
c 動的量的視野
d 視覚誘発電位
e Hess赤緑試験
診断は老視で,答えは「a 調節検査」,正答率は94.0%でした.
調節検査しか知らなくても解答できますが,
他の選択肢が何の検査か全て知っていることで,より安心して解答できると思います.
「医療器具セレクション」では,選択肢のうち,
b 仮性同色表,c 動的量的視野,e Hess赤緑試験
の機器の写真と説明を掲載していました.
特に眼科では,学生にはあまりなじみのない検査の問題(105回での徹照法など)が出題されやすい傾向があり,
外れ選択肢として出題された事柄は,
次に正解選択肢として出題されるパターンも多いので,
よくわからない検査があった場合,確認しておくことをオススメします.
さて,これで「データでみる106回国試」シリーズ全6回が終了しました.
これから国試を受ける皆さんは,
国試についてなんとなくイメージを掴めたでしょうか?
国家試験については,6月下旬に発行される無料情報誌
『INFORMA vol.44 夏号』でも詳しく特集しているので,
そちらも是非参考にしてくださいね.
107回受験生の皆さんは,
これからマッチングに勉強に,多忙な日々が始まると思います.
不安になることもあるかもしれませんが,
国試は大学受験のように「落とすための難関試験」ではなく,
「みんなが解ける問題を解ければ合格する試験」です.
106回国試の分析をふまえて,
恐れずに,これから一歩一歩レベルアップしていきましょう.
応援しています!
(編集部S)
投稿:2012年5月11日 カテゴリ:● データでみる国試
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「データでみる国試」5回目は,
106回国試での分野別の難易度,出題数はどうだったのかを,
105回と比較してお伝えしていきます.
◆分野別問題数◆
まずは,分野別の問題数をみてみましょう.
105回と比較したグラフです.

こうしてみると,やはり公衆衛生の出題がダントツで多いですね.
法律や統計など,あまり勉強にヤル気が起きない,
という人も多いかもしれませんが,
絶対おろそかにはできない分野です.
目立った変化としては,
救急の出題が+18問,医学総論の出題が+11問(105回比)と,
大幅に増加しています.
救急の問題数増加については,
近年の国試において,プライマリケア重視の傾向があり,
なかでも初期対応について問う問題が増加していることが関係していると考えられます.
こちらについては,後述します.
◆分野別正答率◆
次に,分野別の正答率を見てみましょう.

多くの分野で,105回に比べて正答率はほぼ同じ~上昇しており,
全体的に難易度は低めであったといえます.
ただし,出題数が20問以上の科の中で,
消化管,神経,小児科,産科の正答率は,80%に達していません.
早いうちから,十分な時間を使ってしっかり勉強しておいたほうが良いでしょう.
◆より実践的なプライマリケア問題の増加◆
救急の出題数増加,プライマリケア重視の出題傾向に関連して,
実は,臨床問題の問われ方にも,変化が起きています.
10年ほど前から,「まず」行う対応(治療や検査)はどれか,
という問題が多く出題されるようになっていますが,
更に106回では,「まず」に加えて,
「現時点」で行うのはどれか?
という問題が多く出題されました.
いったい毎年どれくらい出題されているのかを知るため,
「現時点で」,「まず」,「次に」といった,
ある時点で行う対応を問う問題の数を数えてみました.
次のグラフを見て下さい.

106回国試では,ある時点での対応を問う問題の総数が増加していますが,
「まず」と「次に」はやや減少し,
「現時点」の問題が大幅に増加しています.
「まず」と「現時点」がどう違うのか,
まずは次の例題を見て下さい.
〈例題〉
Q.25歳の男性.交通事故で頭部を強く打ち,10分間ほど意識がなかった.
頭痛が続くため,30分後に友人に伴われて独歩で来院した.意識は清明.
数字の順唱は4桁しかできない.
まず行う検査はなにか.
A.頭部CT検査
というのが今までの「まず」問題です.
次に,106回で出題された「現時点」での対応を問う問題を見てみましょう.
106G39
25歳の男性.交通事故で頭部を強く打ち,10分間ほど意識がなかった.
頭痛が続くため,30分後に友人に伴われて独歩で来院した.意識は清明.
数字の順唱は4桁しかできない.頭部CTにて側頭骨に線状骨折を認め,
少量の硬膜外血腫を認める.
現時点での対応として適切なのはどれか.
a そのまま帰宅させる.
b 直ちに脳波検査を行う.
c 直ちに脳血管造影を行う.
d 2~4時間後に頭部CTを撮影する.
e 翌日,線状骨折に対して手術を行う.
【解説】
正答は『d 2~4時間後に頭部CTを撮影する』で,正答率は48.1%でした.
緊急時,とにかくやるべき初めの一手を聞く問題から進化した,
より色々な状況を想定し,対応を問う,実践的な問題が出題されるようになったと言えます.
臨床実習での成果を重視し,即戦力となる研修医を育てたい,
という狙いにより,
今後もこのタイプの問題は増加していくと思われます.
実習や過去問を解く時に,意識してみて下さい.
少し長くなってしまいましたので,今回はこのくらいにして,
次回は,救急とともに問題数が増加した医学総論,
特に診察・手技に関する問題について,ご紹介しようと思います.
お楽しみに☆
(編集部 S)
投稿:2012年5月7日 カテゴリ:● データでみる国試
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こんにちは♪編集部のS藤です.
一般問題,臨床問題に引き続き,
今回は,『必修問題』について,お伝えしていきます.
◆必修問題とは◆
平成21年度版医師国家試験出題基準(ガイドライン)には,
必修問題について
・プライマリ・ケアを主題とする出題であり,
聴診器,血圧計等を用いて,口頭や通常の身体診察で行える内容を原則とする.
・また,多科にまたがるような基本的な問題を出題する.
と書かれています.
この文面を見る限りでは,なんだか簡単そうな感じがしますね.
でも実は例年,国家試験の不合格の主要な原因として,
“必修落ち”があり,国試の鬼門として恐れられているんです.
◆3つの特徴◆
必修問題が国試の鬼門といわれる理由は,ズバリ!次の3つです.
1.合格基準は絶対基準で8割
2.普段あまり勉強しないテーマの出題
3.独特の出題傾向~モヤっとする問題が多い~
106回のデータと照らしあわせながら,一つずつみていきましょう.
1.合格基準は絶対基準で8割
106回国試の必修問題は,
一般問題形式50問,臨床問題形式が50問(うち2連問×9)で,
合計200点,合格基準は絶対基準で80.0%,
必修除外の扱い(不正解の場合,採点対象とされない問題)となった問題はありませんでした.
難易度は,例年に比べ平易な問題が多いとの声が多く聞かれました.
ただし,臨床問題は1問3点なので,
2連問を1つ落としてしまうとマイナス6点と失点が大きく,
2連問のテーマに苦手分野があった人は焦ったようです.
許される失点がマイナス40点までと考えると,油断できませんよね.
2.普段あまり勉強しないテーマの出題
必修問題のガイドラインには,医療面接,終末期ケア,一般教養など,
普段は勉強する機会の少ない項目が並んでいます.
また,“多科にまたがるような基本的な問題”ということで,
診察や検査,治療の手技,ライフステージに伴う変化,生活指導など,
医療についてありとあらゆる角度から知識が問われることが特徴です.
実際に問題を見てみましょう.
まずはライフステージについての問題↓
106H9
成人の歩行において,加齢に伴って増大するのはどれか.
a 歩幅(左右の足の着地点の縦幅)
b 歩隔(左右の足の着地点の横幅)
c 腕を振る角度の大きさ
d 踵を挙上する高さ
e つま先を挙上する高さ
【解説】
答えは『b 歩隔(左右の足の着地点の横幅)』で,正答率は94.1%でした.
お年寄りの歩き方をイメージすれば解ける問題ですが,
なかなか普段考えたことのない視点からの分析で,面白いですよね.
高齢化社会の流れを受け,
これからも高齢者についての問題が狙われることが予想されます.
加齢による身体機能の変化や,
公衆衛生では高齢者の虐待や社会的サポートについてなど,
チェックしておいて下さいね!
次に,身体診察についての問題↓
106F2
身体診察について誤っているのはどれか.
a 腎臓の触診は膝屈曲位で行う.
b 腎臓は呼気終末時に触知しやすい.
c 前立腺の直腸指診は示指で行う.
d 陰囊内腫瘤を認めたら透光性を調べる.
e 尿管結石を疑ったら背部の叩打痛を確認する.
【解説】
答え(誤っているの)は『b』で,正答率は82.3%でした.
腎臓は,吸気終末時には横隔膜に押し下げられるため,触知しやすくなります.
診察や手技については,
それぞれの目的や理由も合わせて覚えておくとよいでしょう.
次に,医学英語の問題↓
106C11
症候と英語表記の組み合わせで誤っているのはどれか.
a 黄疸・・・・・・jaundice
b けいれん・・・・convulsion
c 不整脈・・・・・anorexia
d 脱水・・・・・・dehydration
e 便秘・・・・・・constipation
【解説】
答え(誤っているの)は『c』で,正答率は77.0%でした.
不整脈はarrhythmiaで,anorexiaは食思不振です.
基本的な医学用語は,普段から意識してチェックしておきましょう!
ちなみに『イヤーノート』では,
疾患名や症候名の右横に,対応する英語が掲載されています!
重要な英語にはマーカーをひいて目立つようにしておくのがオススメです.
(私が受験生の時にやりましたが,病気について調べるたびに目につくので
効果的だったと思います.)
以上にお見せしたような,様々な切り口で問われる問題の対策は,
普通に各科の勉強をしたり,各科QBを解くだけでは難しいです.
必修の過去問題と予想問題のみを収録した『QB必修』や,
“必修的”な知識を凝縮した『RB必修・禁忌』で
必修に特化した勉強をまとめて行うことが,一番の近道です.
3.独特の出題傾向~モヤっとする問題が多い~
こちらはまず,問題を見てみましょう.
106F16
63歳の男性.咳と発熱とを主訴に来院した.黄色の痰も伴っている.5年前にアルコール性肝硬変とアルコール依存症との診断を受け,3回の入院歴がある.1人暮らしである.体温38.2℃,SpO2 93%(room air).左の全胸部と背部下方とにcoarse cracklesを聴取する.胸部X線写真で左下肺野に浸潤影を認める.肺炎と診断し,入院することになった.
これから収集する情報のうち,安全管理の観点から最も重要性が高いのはどれか.
a 職業歴
b 喫煙歴
c 家族歴
d 海外渡航歴
e 最終飲酒日時
【解説】
正解は,『e 最終飲酒日時』で,正答率は78.6%でした.
この問題についての感想を聴いてみると,
「安全管理の観点から」という設問の意味が,
わかりにくいと感じた人が多かったようです.
また,選択肢a~eは,全て入院時に聴取すべき重要な情報であり,
また多かれ少なかれ安全管理にも関係しそうなので,
最も重視すべきものは,と問われると,
「大事なことは複数あるのに,1つだけ選ぶ必要があるのか?」
とモヤモヤしてしまったそうです・・・
問題文の前半部分に,入院するほどのアルコール依存症の病歴が書いてあるため,
出題者の意図として,アルコールの離脱症状を問いたいのだと気付くことが重要です.
もう一問見てみましょう.
106H15
成人の口腔内を舌圧子とペンライトとを用いて診察する際,視認できるのはどれか.
a 喉頭蓋
b 甲状腺
c 舌小帯
d 咽頭扁桃
e 耳管咽頭口
【解説】
答えは『c 舌小帯』で,正答率は67.6%でした.
すごく基本的っぽい雰囲気の問題です・・・が,正答率が低めです.
出題者の意図としては,きっと
「喉頭鏡などを使わず,普通に口を開けただけで見えるものはな~に?」
という問題を作りたかったのだと思いますが,
正しい舌圧子の使い方を知っている受験生は,
「舌小帯を観察するのに,舌圧子を使うのは間違っているよね・・・
もしかして引っ掛け?」
と深読みしてしまいます.
dの咽頭扁桃を選んだ人が28.6%いましたが,
咽頭扁桃(アデノイド)は口から覗いても視認できません.
そう薄々思いつつも,
のどを見る時,舌圧子で舌を押さえることを考えて,もしかしたら・・・と,
咽頭扁桃を選んでしまった人も多かったでしょう・・・.
このように必修問題では,
絶対的な1つの答えがなかったり,
設問が曖昧で何を答えたらよいのかがわかりづらかったりと,
モヤモヤする問題が多いことが特徴で,
つい深読みをしてしまうと失点し,悔しい思いをすることが多いです.
攻略するためには,どうしたら良いのでしょうか.
こちらもやはり,必修問題をまとめて演習して,問題慣れをすることです.
問題演習を数多くこなすことにより,
・必修問題では,医療者としてどのような考え方が求められているのか
・どういう答えが正解であることが多いのか
・出題者の意図は何か
のパターンがつかめてきます.
また,
・正解となりそうな選択肢が複数ある場合でも,動揺せずベターな選択肢を選ぶ
・深読みせず,直感を重視してサクサク解く
という,必修問題を解く上で独特な技術が身についてきます.
ざっくり言ってしまうと,必修に多いモヤモヤ問題は,
“必修の空気”を読めるか,が攻略のポイントです.
空気が読めるようになるまで,練習して下さい!
以上,少し長くなってしまいましたが,
『必修問題』についての分析でした.
簡単そうにみえても,要注意!ということがお伝えできたでしょうか.
必修対策をするのは,もう少し先の話になるとは思いますが,
頭の片隅に,留めておいて下さいね!
次回は少し視点を変えて,
各診療科ごとの出題数や難易度を分析していきたいと思います.
お楽しみに☆
(編集部S)
投稿:2012年4月26日 カテゴリ:● データでみる国試
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こんにちは☆編集部のS藤です.
前回の,データでみる国試(その2)一般問題編に引き続き,
今回は,『臨床問題』について,お伝えしていきます.
データでみる106回国試(その2)一般問題編はこちら↓
http://web-informa.com/kokushi/data/20120418/
◆臨床問題とは◆
ある症例について年齢,性別,現病歴,身体所見,検査所見,画像などが呈示され,それらを解釈して解答する問題です.
一般問題では,ある事柄についての知識の有無を問うているのに対し,
臨床問題では,知識に加えて,
ある症例について実際に診察・検査を行い,診断,治療を選択するための,
臨床医的な思考回路を求められます.
解答として何が問われるか,
おおまかに分けると以下のような問題が出題されています.
・診断を答える問題
・考えられる病態を答える問題
・予想される所見を答える問題
・予想される合併症(医原性も含む)を答える問題
・適切な検査を答える問題
・適切な治療・対応を答える問題
上記のように,様々な切り口から問われる臨床問題を攻略するためには,
どうしたら良いでしょうか.
まだ臨床実習の期間が残っている科については,
・初診の患者さんの,病歴や身体所見の把握
・必要な検査をオーダーし,得られた情報をもとに診断
・治療を開始し,効果判定,経過に応じた対応を行う
などの全ての段階について,意識して実習に取り組んで下さい.
流れを肌で感じることで,知らず知らずに基礎的な思考回路が身につき,
臨床問題に対する抵抗感がなくなります.
そして,実際の解答力をつけていくためには,
問題演習を反復することが,最も重要です.
◆画像問題対策は充分に◆
臨床問題では,毎年多くの画像問題が出題されています.
106回では,(必修問題を除く)
臨床問題200問のうち49問が,別冊に画像掲示のある問題でした.
実際に問題を見てみましょう.
106E45
78歳の男性.全身麻酔で冠動脈バイパス術を受けた.手術終了後,未覚醒の
状態で,人工呼吸管理下にある.心拍数92/分,整.血圧132/72mmHg.
動脈血ガス分析(100%酸素投与下):pH7.30,PaCO2 53Torr,
PaO2 270Torr,HCO3- 22mEq/l.
術前と術後の胸部エックス線写真(別冊No.5 A,B)を別に示す.

術後の病態として最も考えられるのはどれか.
a 気胸
b 胸水
c 無気肺
d 肺塞栓
e 縦隔血腫
【解説】
答えは『c 無気肺』で,正答率は78.8%でした.
決めては典型的な無気肺のエックス線写真でしたが,
11.5%の人が縦隔血腫を選んでいます.
画像問題は,臨床経験の少ない学生さんには難しく,
苦手意識を持ちやすい部分です.
早いうちから,勉強に画像対策を取り入れて,画像慣れをしておくことが重要です.
『year nore ATLAS』は,メジャー科,マイナー科,産婦人科疾患の,
典型的な画像が1冊で確認できるので,オススメです!!
◆新傾向問題に要注意◆
最近の国試では,
「即戦力となる初期研修医を育成したい」との目的から,
初期研修医が対応するであろう,プライマリケアを主題とした問題や,
臨床実習での経験を問うような問題が多く出題されています.
ここ何年か,「現時点での対応」を問う問題が多くみられていましたが,
106回の長文問題では,さらに実践的な,新しいタイプの問題が出題されました.
106D65~D37
次の文を読み,65~67の問いに答えよ.
75歳の男性.重症肺炎で入院中である.
現病歴:2週前に肺炎と低酸素血症のため搬入された.救急室で気管挿管を施
行され,集中治療室に入院となった.
既往歴:53歳から糖尿病で内服加療中.60歳から高血圧症で内服加療中.
生活歴:長男夫婦と同居.妻が5年前に脳梗塞のため死亡.
家族歴:父親が糖尿病.
65
入院後,人工呼吸器管理が長期にわたったため,本日気管切開術を行い,
引き続き人工呼吸管理を行った.1時間後にアラームが鳴ったため駆けつ
けると,人工呼吸器のモニターで気道内圧が上昇しており,患者の頸静
脈は怒張していた.
この時点で考えるべき病態はどれか.2つ選べ.
a 気道閉塞
b 緊張性気胸
c 肺血栓塞栓症
d 急性心筋梗塞
e 心タンポナーデ
66
直ちに気管内を吸引したところ,少量の白色痰が認められた.10分後,血圧が
78/42mmHgに低下した.左前胸部で呼吸音を聴取しない.
現時点で認められる可能性が高い所見はどれか.
a 心膜摩擦音
b wheezes
c 左胸部の鼓音
d 腹部の膨隆
e 下腿の浮腫
67
心電図モニター波形上,心拍数42/分.頸動脈の拍動を触知しない.
直ちに行うべき治療として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 心嚢穿刺
b 胸骨圧迫
c 胸腔穿刺
d ヘパリンの投与
e リドカインの投与
【解説】
答えと正答率は,
65:『a 気道閉塞』,『b 緊張性気胸』,正答率59.4%
66:『c 左胸部の鼓音』,正答率93.8%
67:『b 胸骨圧迫』,『c 胸腔穿刺』,正答率80.3%
今までの長文問題(3連問)では,ある症例について,
設問1:検査を問う,設問2:治療を問う,設問3:合併症を問う
というような形式がほとんどで,
106D65~D67のように,短期間での時間の経過に沿った出題はありませんでした.
初期研修医にとして働きはじめたら,まさにこんな状況が起こるかもしれない,
と思うような問題ですよね.
特に難問!というわけではありませんが,
このような傾向の問題が出るかもしれない,ということを,
意識して勉強しておくと良いと思います.
以上,『臨床問題』についてお伝えしてきましたが,いかがでしたか.
次回は,『必修問題』について,せまっていきたいと思います.
お楽しみに!
(編集部S)
投稿:2012年4月20日 カテゴリ:● データでみる国試
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みなさんこんにちは!編集部のS藤です.
前回の,データでみる国試(その1)基本情報編では,
国試の合格率・合格基準と,問題の出題形式についてお伝えしました↓
http://web-informa.com/kokushi/data/20120416-2/
続いては,国試の出題内容について迫りたいと思います.
もうご存知の方も多いと思いますが,
国家試験は,必修問題,(必修以外の)一般問題,(必修以外の)臨床問題の3つに分けて採点されます.
今回はそのうち『一般問題』について,
どのような問題なのか,注意すべきポイントは何か,
また,106回ではどんな問題が出題されたのかを,お伝えしていきます.
◆一般問題とは◆
名前の通り,ある疾患や事柄についての一般的な知識を問う問題です.
実際に問題を見てみましょう.
106D6
多発性内分泌腫瘍〈MEN〉I型を構成しないのはどれか.
a プロラクチノーマ
b 原発性副甲状腺機能亢進症
c 甲状腺髄様癌
d Zollinger-Ellison症候群
e 副腎皮質腫瘍
【解説】
答えは『c 甲状腺髄様癌』です.正答率は86.6%でした.
MENI型(ちなみに,厳密にはMEN 1と表記するのが正しいようです)といえば,
PPP:Pituitary(下垂体腫瘍),Parathyroid(副甲状腺機能亢進症),Pancreas(膵内分泌腫瘍)ですね.
これに加え副腎皮質腫瘍やカルチノイドを合併することがあります.
MENを構成する疾患については,今までも何回も出題されていましたが,
副腎皮質腫瘍については初めて出題されたため,eを選んでしまった人も12.0%いました.
cの甲状腺髄様癌はMEN 2を構成します.
このように,一般問題は
なんとなくのイメージでは解けず,確実な知識が要求されます.
◆公衆衛生に要注意◆
公衆衛生は,国試全体で最も問題数の多い分野ですが,
特に一般問題においては,その割合が高く,
105回では,必修以外の一般問題200問中42問,
106回では,200問中40問が公衆衛生でした.
復習になりますが,一般,臨床,必修は別々に採点され,
それぞれの合格基準を満たさなければ合格できません.
一般問題をクリアするためには,
公衆衛生対策を万全にすることがとても重要です.
◆画像問題も出ます◆
画像問題といえば,臨床問題のイメージがありますが,
実は,一般問題でも出題されています.
106回では,一般問題のうち17問の画像問題がありました.
おおまかに分けると下記のような内容で問われています.
(1)画像上の解剖学的知識を問う問題
(2)画像を見て,診断名を問う問題
(3)画像で診断をつけた上で,関連した所見や治療について問う問題
(4)検査や手技に関する知識を問う問題
(※上記複数の要素がオーバーラップしている問題もあります.)
実際に問題を見てみましょう.
まずは(1)の「解剖学的知識を問う問題」です.
106B6
胸部エックス線写真と胸部単純CTとを次に示す.






胸部エックス線上の異常陰影と一致した病変が認められる胸部単純CTはどれか.
a(1) b(2) c(3)
d(4) e(5)
【解説】
答えは『b』で,正答率は88.5%でした.
胸部エックス線上,右の下肺野に異常陰影がみられ,
心陰影とのシルエットサインが一部陽性であることがポイントです.
スペースの都合上,(2)「画像から診断名を問う問題」は割愛して(スミマセン)
次に,(3)「画像から診断し,考えられる所見を選択する」
やや高度な問題です.
106A16
胸部単純CTを次に示す.

この患者の肺機能検査所見として考えられるのはどれか.2つ選べ.
a A-aDO2正常
b 拡散能低下
c 残気量増加
d 肺活量低下
e 1秒率低下
【解説】
答えは『b 拡散能低下』と『d 肺活量低下』で,正答率は66.6%でした.
すりガラス状陰影,小葉間隔壁の肥厚,蜂巣状陰影より肺線維症を考え,
間質病変による拡散能低下(b)と拘束性障害(d)を選択します.
ほとんど同じ問い方で,COPDの胸部エックス線写真の問題も出題されています(D14).
(4)「検査や手技に関する知識を問う問題」については,
少し毛色が違い,また,重要な問題なので,
次回以降のメルマガで改めてご紹介しようと思います.
以上,『一般問題』についてお伝えしてきましたが,いかがでしたか.
次回は,臨床問題について,せまっていきたいと思います.
お楽しみに!
(編集部S)
投稿:2012年4月18日 カテゴリ:● データでみる国試
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こんにちは☆編集部のS藤です.
いよいよ新年度が始まりましたね.
106回受験生の皆さんは,全くの新生活が始まったばかりで慣れないことばかり,楽しくも大変な時期だと思います.
自分のからだにも気をつけて,がんばってくださいね!
充実した素敵な研修ライフとなるよう応援しています♪
さて新6年生のみなさんは,すでに多くの方が本格的に受験勉強を始めていると思います.
106回はどうだったのか,いろんな噂が飛び交っていますが,
このメルマガでは,「データでみる国試」と題して,106回国試を多角度から分析,少しずつ紹介していきます!
今日は基本情報編です.
◆合格率・合格基準は?◆
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102回 |
103回 |
104回 |
105回 |
106回
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合格率
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90.6% |
91.0% |
89.2% |
89.3% |
90.2%
|
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合格
基準
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必修問題 |
80.0% |
80.0% |
80.0% |
80.0% |
80.0%
|
|
一般問題
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65.0% |
63.1% |
62.8% |
64.5% |
67.0%
|
|
臨床問題
|
66.5% |
64.3% |
64.6% |
62.6% |
71.2%
|
合格率に大きな変化はなかったようです.
合格基準はというと,相対基準である一般問題・臨床問題の合格基準が,過去5回の中で最も高くなっています.
106回受験生に聞いてみたところ,こんな声が聞かれました.
「思ったよりサクサク解けたので最初はテンションが上がったけど,みんなそうだったとわかった後は,ボーダーがどれくらい上がるのかヒヤヒヤしました.」
「マニアックで難しい問題は少なく,過去問に比べても全体的に簡単だと感じました.逆に言うと確実にとれなければいけない問題が多い,というプレッシャーを感じました.」
問題が難しくても,簡単でもプレッシャーになってしまい,国試受験生は大変です・・・
◆選択肢の形式は?◆
CBTに,単純5肢選択と連問があったように,国試の出題形式にも色々あります.
出題形式ごとの問題数が毎年変わったり,新しい形式の問題が出されたりするので,受験生の皆さんはこちらも要チェックです.
国試で最も多いのは,A形式と呼ばれる五肢択一ですが,
101回からは,X2形式と呼ばれる“2つ選べ”問題,103回からはX3形式と呼ばれる“3つ選べ”問題が出題されています.
実際に問題を見てみましょう.
■A形式
106A2
胎児水腫の原因となるのはどれか.
a クラミジア
b 風疹ウイルス
c パルボウイルスB19
d 単純ヘルペスウイルス
e 水痘・帯状疱疹ウイルス 答.c
■X2形式
106A15
Philadelphia染色体を認めるのはどれか.2つ選べ.
a 急性前骨髄球性白血病
b 急性リンパ性白血病
c 成人T細胞白血病
d 慢性骨髄性白血病
e 慢性リンパ性白血病 答.b,d
■X3形式
106D20
小児の急性細気管支炎について正しいのはどれか.3つ選べ.
a RSウイルスが病因となる.
b 3~4歳児に好発する.
c 吸気性呼吸困難がみられる.
d 胸部エックス線写真で両側肺野の透過性が亢進する.
e 加湿酸素の吸入が有効である. 答.a,d,e
次にそれぞれ何問ずつ出題されているか,グラフを見てみましょう.
(6肢以上の選択肢から選ぶ問題,計算問題は,便宜上Aタイプに含めています.)

X2形式,X3形式の出題数は減少傾向です.
X2形式は一般問題でも臨床問題でも多くの出題がありましたが,X3形式は7問中6問が臨床問題での出題でした.
また,103回からは“6肢以上の選択肢から選ぶ問題”(以降“多肢選択”),“計算問題”も出題されています.
こちらも実際に問題を見てみましょう.
■6肢以上の選択肢から選ぶ問題
106G68
卵膜の3層構造の順序で正しいのはどれか.
ただし,胎児側から母体側に並べた場合とする.
a 絨毛膜 → 脱落膜 → 羊 膜
b 絨毛膜 → 羊 膜 → 脱落膜
c 脱落膜 → 絨毛膜 → 羊 膜
d 脱落膜 → 羊 膜 → 絨毛膜
e 羊 膜 → 絨毛膜 → 脱落膜
f 羊 膜 → 脱落膜 → 絨毛膜 答.e
■計算問題
106I80
高尿酸血症患者の結果を示す.
尿所見:pH 5.5,クレアチニン80mg/dl,尿酸34mg/dl.
血液生化学所見:クレアチニン1.0mg/dl,尿酸8.0mg/dl.
尿酸排泄率〈FEUA〉を求めよ.
ただし,小数点以下第2位を四捨五入すること.
解答:(1).(2)% 答.5.3%
それぞれの出題数は・・・
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多肢選択
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計算
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103回
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10問 |
2問
|
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104回
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7問 |
1問
|
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105回
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11問 |
1問
|
|
106回
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6問 |
3問
|
最後に,ここまで出てきた各問題形式別の,平均正答率を見てみましょう.
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問題形式
|
問題数 |
平均正答率
|
|
A形式
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419 |
83.2%
|
|
X2形式
|
65 |
79.8%
|
|
X3形式
|
7 |
79.0%
|
|
多肢選択
|
6 |
80.6%
|
|
計算問題
|
3 |
72.1%
|
やはり,一番基本的なA問題に比べると,その他の形式の問題は,難易度が少し上がるようです.
また,106回では計算問題が3問と今までで一番多く,比較的難しい問題が出題されたことも話題になりました.
問題数としては少ないとはいえ,少し注意して対策を行う必要がありそうです.
●X2,X3,多肢選択問題への対策●
“1つ1つの選択肢に○×をつける力”をつけることが重要です.
QBをある程度解いて解答力がついてきたら,知識の確認として1問1答形式の『データマニュアル』も是非使ってみて下さい.
QBではなんとなく解けていた問題も,以外とうろ覚えな部分があることがわかり,力になるはずです!
●計算問題対策●
授業で習ったり実習で使った計算式をノートにまとめたり,過去問の関連事項(例えば106回のBMIに関連して,ローレル指数やカウプ指数など)を確認しておくと良いと思います.
出題数は決して多くはありませんが,覚えなくてはいけない数もそれほど多くないし,研修医になってからも使う機会の多い知識なので,コストパフォーマンスは良いと思います.
尚,今年は4年に1度のガイドライン改訂年で,107回医師国家試験は新ガイドラインに基づいて施行されます.
それに伴い,問題形式も変更される可能性があります.
新ガイドラインは4月中に発表される予定で,改訂ポイントは,メディックメディアの無料情報誌『INFORMA』や,メルマガでも紹介するので,チェックしてみて下さいね!
それでは今日はこのへんで,続きをお楽しみに☆
(編集部S)
投稿:2012年4月16日 カテゴリ:● データでみる国試
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105回国試,受験生の皆さんが悩んだのは
どんな問題だったのでしょうか?
メック&メディックメディアが行っている「採点サービス」.
ここで集計されたデータから,
正答率の低い問題,答えが割れた問題がわかります.
どんなポイントで受験生が迷いやすいのか,実際にみていきましょう.
*採点除外問題もご紹介しますが,マニアックなものは省略し,
臨床的で今後繰り返し出題される可能性のある問題を選んでいます.
D49 (採点除外)
4ヵ月の乳児.予防接種を受けた部位の変化を心配して来院した.3日前に左上腕にBCG接種を受けた.昨日から接種部位の発赤を認め,接種痕が膿疱様になってきたという.体温36.8℃.身体診察所見に異常を認めない.哺乳力や機嫌に変化はない.接種部位の写真を次に示す.

説明として適切なのはどれか.
a 「通常の反応であり,検査や処置は不要です」
b 「1週後にまた受診してください」
c 「黄色い膿を採取して顕微鏡で検査しましょう」
d 「黄色い膿を採取して培養検査をしましょう」
e 「ツベルクリン反応の検査をしましょう」
【解説】
答えは『e ツベルクリン反応の検査をしましょう』です.
受験生の選択率は
a 65.9% b 20.7% c 4.5% d 4.2% e 5.1%
でした.現時点では経過観察と考えた人が大半だったようです.
BCG接種の針跡は,普通は10日程たたないと見えてきません.
しかし既に結核に感染をしていると,
接種後すぐに接種部位が発赤,腫脹,膿疱状になることがあり,
これを「コッホ現象」といいます.
コッホ現象が認められた場合には,結核感染の有無を調べるため,
早期(一週間以内)にツベルクリン反応の検査を行う必要があります.
(時間が経つとBCGにより擬陽性になる可能性があるため)
写真の針跡の発赤があまりひどくないことに惑わされるかもしれませんが,
問題文中の「膿疱様」は,コッホ現象の特徴です.
平成17年からBCG接種前のツベルクリン反応検査が廃止になり,
また,最近結核の注目度も高まっているので,覚えておいてくださいね.
B38 (採点除外)
多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉と判断するために,感受性試験で抵抗性を証明すべき抗菌薬はどれか.3つ選べ.
a ニューキノロン系 b カルバペネム系 c アミノ配糖体系
d ペニシリン系 e セフェム系
【解説】
答えは『a ニューキノロン系,b カルバペネム系,c アミノ配糖体系』です.
受験生の選択率は
a 53.7% b 52.3% c 57.2 d 59.3 e 77.2%
でした.
緑膿菌は本来抗菌薬が効きにくい菌種で,
有効な抗緑膿菌薬はニューキノロン系薬,カルバペネム系薬,
アミノ配糖体系薬などに限られますが,この3系統すべてに
耐性を示す緑膿菌が多剤耐性緑膿菌(MDRP)と定義されます.
今回は採点除外となりましたが,
院内感染症や多剤耐性菌については今後も出題が予想さます.
今回出題されたMDRPの他にも,
・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
・VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)
・PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)
・多剤耐性アシネトバクター
など,代表的なものはチェックしておきましょう.
F26,27
次の文を読み,26,27の問いに答えよ.
4ヵ月の乳児.体重増加不良と発達遅延の疑いとを主訴に来院した.
現病歴:生後数時間から心雑音が聴取され,7㎜の欠損孔を有する心室中隔欠損症と診断された.生後2週から利尿薬を内服している.この1ヵ月の体重の増加は約300gであった.
発育・発達歴:在胎38週2日,3,240gで出生.追視は可能,頸定は十分でない.
既往歴・家族歴:特記すべきことはない.
現症:体動は活発.身長64.2㎝,体重4.8kg.体温37.1℃.呼吸数60/分.心拍数132/分,整.右肋骨弓下に肝を2.5㎝触知する.
検査所見:胸部X線写真を次に示す.

F26 正答率31.9%
この児に認められる所見はどれか.
a 陥没呼吸 b チアノーゼ c 眼瞼の浮腫
d 乾燥した皮膚 e 甲高い泣き声
F27 正答率8.7%(不正解の場合採点除外)
この児の胸部聴診所見で認められるのはどれか.
a Ⅰ音の亢進 b Ⅱ音の減弱 c 連続性雑音
d 肺動脈駆出音 e 拡張期ランブル
【F26解説】
心不全を伴うVSDの乳児の臨床症状を問う問題です.
受験生の選択率は
a 31.9% b 22.8% c 21.7% d 18.4% e 5.2%
と,割れました.
胸部X線写真で著明な肺うっ血があり,呼吸数も多いため,
『a 陥没呼吸』が認められると考えられます.
左・右短絡なのでチアノーゼは原則的には認めず,
肝臓は腫大し右心不全も認めますが,
右心不全では,浮腫は眼瞼よりも下半身に起こりやすいです.
また,心不全による高度の体重増加不良を伴う例では
皮膚が乾燥する例もありますが,
一般には発汗過多により皮膚は湿潤している場合が多いです.
e は猫鳴き症候群の所見ですが,問題文中にそれを示唆する情報はありません.
【F27解説】
答えは『e 拡張期ランブル』です.
受験生の選択率は
a 5.2% b 9.4% c 16.5% d 60.2% e 8.7%
でした.
左室→右室のシャントにより右室からの駆出量が増加し,
肺動脈駆出音が聴こえると考えた人が多かったようです.
しかし,収縮期には全収縮期逆流性雑音が聴こえているはずですよね.
心室中隔欠損症(VSD)では,
肺血流増加により左房が拡大,左房圧も上昇し,
相対的僧帽弁狭窄による拡張期ランブルを認めます(Carey-Coombs雑音).
F26,F27は必修問題で,
内容もVSDとメジャーな疾患であったにもかかわらず,
多くの人が足元をすくわれる結果となりました.
F27の聴診所見については,
実は『year note』に青字で強調してありました.
なんとなくわかった気になっている,メジャーな疾患こそ,
もう一度きちんと勉強して,確実に得点できるようにしておきましょう.
D44 正答率23.9%
67歳の女性.3ヵ月前からの腹部膨満感を主訴に来院した.脈拍76/分,整.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部はやや膨隆し,右肋骨弓下に肝を3㎝,左肋骨弓下に脾を5㎝触知する.血液所見:赤血球360万,Hb 10.5g/dl,Ht 32%,白血球18,700(骨髄芽球1%,好中球58%,好酸球5%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球30%,赤芽球4個/100白血球),血小板65万.末梢血塗抹標本で巨大血小板を認め,骨髄穿刺はdry tapであった.骨髄の生検組織のH-E染色標本と鍍銀染色標本とを次に示す.

適切な対応はどれか.
a 自家骨髄移植
b 抗癌化学療法
c 無治療で経過観察
d エリスロポエチン投与
e 副腎皮質ステロイド投与
【解説】
原発性骨髄線維症の治療方針についての問題です.
答えは『c 無治療で経過観察』で,
受験生の選択率は
a 22.2% b 35.9% c 23.9% d 1.7% e 16.3%
でした.
原発性骨髄線維症に対しては,
予後を改善する標準的治療法は確立されておらず,
同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法です.
実際の臨床では,予後因子や重症度分類,
臨床症状(貧血や腹部症状)によって,
経過観察,抗腫瘍薬,脾摘,ステロイド投与,
造血幹細胞移植など治療法を選択しています.
詳しくは割愛しますが,この症例は,低リスク群の可能性が高く,
また症状も腹部膨満感のみであるので,経過観察です.
105回国試では,このような専門的な問題が他にも何問か出題されました.
難しいですね・・・
——
さて,これで「データでみる105回国試」シリーズ全6回が終了しました.
これから国試を受ける皆さんは,
国試についてなんとなくイメージを掴めたでしょうか?
国家試験については,6月下旬に発行される無料情報誌
『INFORMA vol.41 夏号』でも詳しく特集しているので,
そちらも是非参考にしてくださいね.
106回受験生の皆さんは,
これからマッチングに勉強に,多忙な日々が始まると思います.
不安になることもあるかもしれませんが,
国試は大学受験のように「落とすための難関試験」ではなく,
「みんなが解ける問題を解ければ合格する試験」です.
105回国試の分析をふまえて,
恐れずに,これから一歩一歩レベルアップしていきましょう.
応援しています!
(編集部S)
投稿:2011年5月20日 カテゴリ:● データでみる国試
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今日は,データでみる国試(その1)でも少しだけ触れた,
新傾向問題をご紹介しようと思います.
(データでみる105回国試(その1) 基本情報編はこちら)
http://web-informa.com/kokushi/data/20110406-3/
◆6肢以上の選択肢から選ぶ問題◆
103回から出題されるようになった形式の問題です.
105回では11問出題されましたが,その正答率は,
80%以上 ⇒ 6問
70%~79% ⇒ 3問
60%以下 ⇒ 2問
となっています.
選択肢が多い分難しそうに見えますが,
思ったより難易度は高くないですね.
*ちなみに…
正答率80%以上はだいたい誰でも反射的に解答できる問題で,
70%~80%は,国家試験対策をしていれば解答できる標準的な問題です.
国試は計算上,正答率70%以上の問題を正答できれば合格ラインに達します.
また,公衆衛生から2問(感染症統計B62,一般診療医療費統計G68)
出たことにも注目です.
では実際に問題を見てみましょう.
まずはブルーゾーン☆80%以上の問題.
I78 正答率98.4%
Cushing症候群でみられないのはどれか.
a 多毛 b 高血圧 c 低血糖
d 易感染性 e 骨粗鬆症 f 精神障害
g 中心性肥満 h 満月様顔貌
【解説】
答えは『c 低血糖』です.Cushing症候群では,
糖質コルチコイドの抗インスリン作用により,高血糖になります.
次は70%~79%のイエローゾーン.
これが解くことができるかどうかが,合否を分ける領域です.
I79 正答率79.3%
68歳の男性.進行する下腿の浮腫を主訴に来院した.
2ヵ月前から両側下腿の浮腫を自覚していたが,次第に増悪するため紹介されて受診した.
10年前から高血圧症で降圧薬を服用している.
6年前から関節リウマチで自宅近くの診療所にて薬物治療中である.
脈拍76/分,整.血圧138/86mmHg.尿所見:蛋白3+,糖(-),潜血(±).
血液生化学所見:総蛋白5.5g/dl,アルブミン2.6g/dl,総コレステロール368mg/dl,尿素窒素22mg/dl,クレアチニン1.1mg/dl,尿酸7.4mg/dl.
腎生検の蛍光抗体IgG染色標本を次に示す.

この腎病変をきたす原因として可能性が低いのはどれか.
a 金製剤 b 大腸癌 c B型肝炎
d 高血圧症 e 関節リウマチ
f 悪性リンパ腫 g D-ペニシラミン
h 全身性エリテマトーデス〈SLE〉
【解説】
糸球体係蹄に沿った顆粒状のIgG沈着から膜性腎症を考えます.
膜性腎症を来す可能性が低いものを考えると,答えは『d 高血圧症』です.
膜性腎症は成人のネフローゼ症候群の原因として頻度が高く,
2次性に発症することが多い糸球体腎炎としても知られているので,
チェックしておきましょう.
最後に,60% 以下のレッドゾーン.解けたら偉い!
I77 正答率54.5%
放射線治療中に静脈栄養・経管経腸栄養管理の必要性が最も低いのはどれか.
a 上咽頭癌 b 中咽頭癌 c 舌癌
d 歯肉癌 e 口腔底癌 f 下咽頭癌
g 声門癌 h 頸部食道癌
【解説】
答えは『g 声門癌』ですが,『a 上咽頭癌』を選んだ人が33.9%いました.
選択肢の中で,上咽頭は食物の通過に直接関係がないからだと思います.
(声門の背側には下咽頭があります.)
しかし,上咽頭癌は,高率に頸部リンパ節転移を起こすので,
照射範囲は上咽頭だけでなく,頸部リンパ節が含まれます.
そのため治療時には食道にも放射線があたり,炎症や浮腫を起こします.
声門癌の治療においても,嚥下困難を生じ得ますが,
軽度で一過性のものが多いそうです.
実際の経過を見る機会の少ない学生には,難問でした.
◆一般教養・医学英語◆
今年は,3問出題されました.
F15 正答率63.4%
疾患と診療分野の組合せで適切でないのはどれか.
a gall stone・・・・・・gastroenterology
b glaucoma・・・・・・・oncology
c renal stone・・・・・・urology
d stroke・・・・・・・・neurology
e thyroiditis・・・・・・endocrinology
【解説】
答えは『b(緑内障・・・腫瘍学)』です.
-omaには“○○腫”という意味があるので,
緑内障を知らない人は引っかかってしまいますね.
必修に出るような疾患は特に,英語の疾患名も,
日頃から気をつけて見ておきましょう.
次に,英語というより医師としての常識を問う問題.
H20 正答率77.0%
医学原著論文において通常最初に置かれている項目はどれか.
ただし,タイトル,著者名および所属を除く.
a Abstract b Conclusion c Introduction
d Methods e Results
【解説】
答えは『a Abstract(要約)』です.
普段から論文を読んでいた人には,簡単でしたね.
わかってはいたのに,変に深読みをして,他の選択肢を選んだ人もいました.
必修の恐ろしいところです.
◆計算問題◆
こちらも,103回から出題されるようになった,計算問題です.
103回からの出題数と内容は,
103回⇒呼吸機能検査,低Alb時の血清Caの補正 の2問
104回⇒呼吸機能検査 1問
105回⇒A-aDO2 1問
となっており,今のところ呼吸器がよく狙われていますね.
対策としては,今まで出された問題の復習とともに,
色々な公式をリストアップしてまとめておくといいかもしれません.
(例えば,腎⇒浸透圧,アニオンギャップ,Ccr,循環⇒平均血圧,出血量,など)
それでは,いよいよ今年の問題を見てみましょう.
I80 正答率54.0%
慢性呼吸不全患者の動脈血ガス分析(自発呼吸,room air)の結果を示す.
pH 7.41,PaCO2 44Torr,PaO2 57Torr,HCO3- 27mEq/l
FIO2 21%,大気圧761Torr,飽和水蒸気圧47Torr,呼吸商(ガス交換率)が0.8であるとき,A-aDO2を求めよ.
ただし,小数点以下第1位を四捨五入すること.
解答:(1)(2)Torr *(1),(2)それぞれに0~9の数字を選択
【解説】
A-aDO2=PAO2-PaO2
={(大気圧-飽和水蒸気圧)×FIO2-PaCO2/呼吸商}-PaO2
=37.94Torr
で,小数点以下第1位を四捨五入して,答えは『38Torr』になります.
正確に理論式を覚えていた受験生が少なかったようで,
正答率は54.0%と低かったです.
——
新傾向問題,いかがでしたか?
出題数も少なく対策をしづらい為か,正解率は低めですが,
難問ばかりでは決してありません.
特に医学英語や計算問題は,実習中に出会った時に,
「国試に出るかも」と意識して,
覚えたりメモを残したりしておくと良いと思います.
さて次回は,105回受験生を一番苦しめた,
難問・割れ問をご紹介しようと思います.
それでは今日は,このへんで.
(編集部S)
投稿:2011年5月10日 カテゴリ:● データでみる国試
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「データでみる国試」3回目は,前回に引き続き,
105回で出た画像問題をご紹介していこうと思います.
◆画像問題 解剖編◆
画像上の解剖学的知識を問う問題です.
105G17
側頭骨高分解能CTの軸位断像を別に示す.
矢印で示すものはどれか.
a 蝸牛基底回転 b 外側半規管 c 顔面神経管
d 蝸牛窓 e 前庭

正答率32.5%の難問です.
(矢印の位置があいまいで分かりにくいですが)
答えは「b 外側半規管」です.
側頭骨CTは,耳鼻科の聴神経腫瘍や側頭骨骨折で,
見たことはあると思います.しかしその他の正常構造は,
あまり意識して見たことがなかった人も多いのではないでしょうか.
どの分野でも解剖はとても重要です.
普段から,画像問題は目立つ病変だけでなく,
正常構造も一通り見るなど,解剖を意識した勉強をしましょう.
◆画像問題 実技編◆
104回でも注目されていた,実技・医療器具の問題が,
今回も多数出題されています.
105H18
心電図検査を行う際の胸部誘導の電極と肋骨の位置関係を別に示す.
正しい電極の位置はどれか.
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)

医学生の皆さんなら当然見慣れているはずの心電図検査ですが,
意外にも?!正答率は52.9%・・・
受験生の解答は,同じ位置関係で1肋間高さの違う,
aとbでほぼ半々に割れました.
詳しい位置は省略しますが,V1とV2の高さは第4肋間です.
覚えておきましょう.
ということで,答えは「b」でした.
105F25
46歳の男性.咳と痰とを主訴に来院した.3ヵ月前から倦怠感と食思不振を自覚し,体重が減少してきた.最近,痰の量が増加し,時々,血液が混じるようになった.アルコール依存症で入院歴がある.意識は清明.呼吸数24/分.血圧118/82mmHg.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%.著しいるいそうを認める.マスクの種類と装着方法を別に示す.
医師が患者の診察を進める際のマスクとその装着方法として適切なのはどれか.
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)

結核が疑われる患者さんの診察では,医療者側がN95マスクを装着します.
ということで答えは「a」です.
他の選択肢は,全てサージカルマスクで,空気感染の予防はできません.
そして,bは鼻が露出,cは鼻や頬にフィットさせてないので,
サージカルマスクの装着法としても間違いです.
ちなみにeは,上に透明のガードがついて,
手術中などに眼を守るタイプです.
105E24
妊娠中の超音波写真を別に示す.
児頭大横径〈BPD〉の計測断面を示しているのはどれか.
a(1) b(2) c(3) d(4) e(5)

cとdが少し紛らわしいですね.
正解は「c」ですが,32.0%の人がdを選びました.
cは胎児頭部正中線エコーが見えることがポイントです.
dは胃泡が見え,腹部です.
その他の選択肢は,
a 稽留流産
b 妊娠初期の胎児全長(頭殿長を測ります)
e 大腿骨 です.
前回とあわせて,9問の画像問題を見てきましたが,
いかがだったでしょうか.
このような画像問題が100問以上あるのに加えて,
画像問題にはカウントされていませんが,
問題中にシェーマが入った「図示問題」もいくつか出題されています.
ノートに図を書いてまとめる,または
『病気がみえる シリーズ』や『year note ATLAS』を使うなどして
色々な学習内容の,視覚的なイメージをつかめるようにしましょう.
それでは今日は,このへんで.
(編集部S)
投稿:2011年4月28日 カテゴリ:● データでみる国試
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「データでみる国試」3回目からは,
いよいよ国試の問題の内容に迫っていきたいと思います.
◆画像問題の数と傾向は?◆
今回は,受験生の悩みの種,「画像問題」.
長文を頑張って読んでも,画像がわからないと答えが全くわからないし,
数も多いから,悩むとどんどん時間が無くなってしまうんですよね...

105回国試は,画像のある問題が113問,画像の総数は186点でした.
(カウントは弊社基準による)
グラフを見ると,画像総数はやや減ったものの
問題数は104回と同水準を保っています.
相変わらずボリューム満点です...
(ちなみに95~97回の全問題数は試行問題を含めて550問,98~100回は同じく530問だったので,全問題数が500問になった101回以降でガクッと下がったようにみえていますが,全体の問題数に差があることをご了承ください)
画像から診断や治療を選ばせるスタンダードな問題の他,
心電図の電極の位置やPEG(胃瘻)造設など,
手技や器具の問題も出ているので,
実習中にできるだけ検査や処置をみておくとよいでしょう.
また,画像上の解剖学的知識を求める問題も目立ちました.
画像問題は見たことがあるかどうかが勝負の分かれ道!
イヤーノートとセットになった『イヤーノート・アトラス』で
万全の画像対策をしましょう.
さて,ここからは,実際に出た問題を見ていきましょう.
画像問題を,いくつかの代表的な出題パターンにわけてご紹介します.
◆画像問題 診断編◆
画像を見て診断をつける問題です.
まずは,“画像→診断”タイプ.画像の読みが全てです.
105D7
乳房超音波写真を別に示す.
最も考えられる疾患はどれか.
a 嚢胞 b 乳癌 c 脂肪腫
d 線維腺 e 悪性リンパ腫

不整形腫瘍で境界不明瞭,微細石灰化,
不均一な腫瘍内部,低~等エコー,などから,
正解は「b 乳癌」となります.
次は応用タイプで,画像から組織所見を診断,
更にその病態・病歴が問われました.
105G24
腎生検PAM染色標本を別に示す.
患者の病歴として最も合致するのはどれか.
a 扁桃炎罹患2週後に乏尿となった男児
b 全身浮腫が数日の経過で出現した20歳台の男性
c 発熱,関節痛,顔面の紅斑および浮腫が出現した20歳台の女性
d 糖尿病腎症の治療中に浮腫が出現し増悪した60歳台の女性
e 浮腫と腎機能低下とが数ヵ月で進行した70歳台の男性

まず,腎生検PAM染色標本より,組織所見を,
管外増殖性糸球体腎炎(半月体形成性糸球体腎炎)と診断します.
次に,管外増殖性糸球体腎炎は,
臨床的には急速進行性腎炎症候群を呈することが多いことを踏まえて,
各選択肢を検討していきます.
a「溶連菌感染後の急性腎炎症候群」→管内増殖性糸球体腎炎
b「若年者のネフローゼ症候群」→微小変化型or巣状糸球体硬化症
c「ループス腎炎」→半月体形成性腎炎もありうるが,その場合は
他に免疫複合体の内皮下沈着,管内増殖病変を
同時に認めることが多い.
d「糖尿病性腎症によるネフローゼ症候群」→びまん性病変や結節性病変
というように,a~dは違いそうです.
そしてeは・・・まさに急速進行性腎炎症候群の病歴なので,
正解は「d 浮腫と腎機能低下とが数ヵ月で進行した70歳台の男性」
となります.
他に診断タイプとして多いものに,
『臨床所見と画像を合わせて診断をつける問題』があります.
こちらは問題が大変長いため,今回は割愛しますが,ごく簡単にまとめると,
105D25
(閉塞性黄疸,IgG高値,抗核抗体陽性)+(CTでびまん性膵腫大,ERCPで主膵管狭細像)=自己免疫性膵炎
というような問題です.
ちなみに自己免疫性膵炎は,104回でも出題されており,
注目されている疾患なので,ついでにチェックしておきましょう.
◆画像問題 治療編◆
次は,画像から診断をつけさせ,更に治療法を選択させる問題です.
まずは必修問題から.
105H26
32歳の女性.咽頭痛と呼吸困難とを主訴に来院した.昨夜から咽頭痛が出現し.強い嚥下痛のため食事がとれなくなった.今朝から呼吸困難を自覚し,その後,急激に増悪している.体温38.9℃.苦しくて横になれず,吸気時に強い喘鳴がある.喉頭内視鏡写真を別に示す.
まず行うのはどれか.
a 仰臥位安静
b 内視鏡的鉗子生検
c 抗ウイルス薬投与
d 輪状甲状軟骨間膜切開
e 経鼻経腸栄養チューブ挿入

これは国試頻出です!
『急性喉頭蓋炎による呼吸困難⇒すぐに気道確保』なので,
正解は「d 輪状甲状軟骨間膜切開」
生検は禁忌肢になる可能性が高いです.
最後に,少し難しい問題です.
105I47
62歳の女性.貧血を主訴に来院した.高血圧症の治療中,血液検査で貧血を指摘され,消化管の精査のために紹介された.意識は清明.身長168cm,体重57kg.体温36.4℃.脈拍72/分,整.血圧136/86mmHg.甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない.心音と呼吸音とに異常を認めない.肝・脾を触知しない.尿所見:蛋白(-),糖(-).血液所見:赤血球302万,Hb 7.9g/dl,Ht 26%,白血球8,100,血小板15万.血液生化学所見:総蛋白6.6g/dl,アルブミン3.4g/dl,尿素窒素19mg/dl,クレアチニン0.5mg/dl,総ビリルビン1.8mg/dl,AST 26IU/l,ALT 34IU/l,LD 540IU/l(基準176~353),ALP 286IU/l(基準115~359),Na 138mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 102mEq/l.免疫学所見:CRP 0.8mg/dl,CEA 2.8ng/ml(基準5以下),CA19-9 26U/ml(基準37以下).上部消化管内視鏡検査で胃内に病変を認める.胸腹部CTでは胃の病変以外に異常を認めない.上部消化管内視鏡写真を別に示す.
治療として適切なのはどれか.
a 手術
b 動脈塞栓術
c 放射線治療
d ステント留置
e 抗癌化学療法

画像より,噴門部の進行胃癌(1型)であり,問題文から,
リンパ節転移・遠隔転移はなく胃に局在する病変だということがわかります.
全身状態や合併症など手術適応外になる条件は記載されていないので,
答えは,進行胃癌の標準治療「a 手術」です.
今回は実際に105回の問題をいくつかご紹介しましたが,
いかがだったでしょうか.
今日ご紹介した他にも,様々なタイプの問題があるので,
是非早めに『クエスチョン・バンク』で過去問をチェックしてみてくださいね.
それでは今日はこのへんで.
(編集部S)
投稿:2011年4月26日 カテゴリ:● データでみる国試
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